コラム
屋内プールのスピーカ計画
2011.7.15
先日、子供達と一緒に区立の屋内温水プールに行きました。
プールって1~2時間に1回、10分くらいの休憩時間がありますが、たまたま私がいた位置では、その休憩を知らせるアナウンスが響いて何を言っているのか分かりませんでした。スピーカの配置計画がちょっと上手くないようでした。
屋内プールといえば、空間の容積が大きいのと、水面やタイルなど音を反射する部位が多いことに加えて、内装に耐水・耐湿性が必要なことから吸音がしにくいために、どうしても響きが長くなります。音響的な配慮が重要な施設のひとつです。
同時に、響きの長い空間ではスピーカの配置計画にも注意が必要です。響きが通常程度の空間と同じに考えては、明瞭な拡声はまず無理です。ポイントは次の通りです。
①スピーカを出来るだけ聴衆に近づける
②1台のスピーカのカバーエリアを狭く限定する
③スピーカは指向性の範囲に聴衆がしっかり入るように向ける
(余計な壁が指向範囲に入らないようにする)
つまり、音の伝搬距離を短くすることと、余計な残響の発生を抑えることで、明瞭さを確保するのです。先ほどの休憩のアナウンスも、スピーカの正面ではきちんと聞こえました。直接音>残響音とすることが重要なのです。
このアプローチは屋内体育館や展示場、教会などでも共通に適用できます。
a:2639 t:1 y:0