コラム
最近のオーディオミキサーにはエアモニタ入力がなくて困ります...
2011.6.3
先日、公民館を建て替えた300席のホールで、エアモニタマイク用入力のないオーディオミキサー(音響調整卓)でどのようにモニタリング機能と操作性を実現するか、関係者で頭を悩せました。
エアモニタマイクとは、音響調整室で客席内の音の状況を把握するために客席に設置するマイクのことで、その音を調整室でモニタースピーカから聞きながらミキサー操作をします。
客席とガラスで区切られた調整室でミキサー操作するためには必須の機能ですが、最近のミキサーにはエアモニタマイクの入力機能がなくて困ります。
音響の専門スタッフが配置されるホールの場合には、スタッフの知識と技術に甘えてやりくりして使って頂いています。それで良い訳ではありませんが、スタッフさんも理解してくれています。
しかし、今回の公会堂のように専門のスタッフが配属されない施設ではそれは出来ません。むしろ、必要な機能が適切に分かりやすく使えることが、専門スタッフのいる施設よりもより強く望まれると思います。
にも関わらず、こういう施設向きとして発売されている簡易で小型なミキサーほど、エアモニタに限らず、多くの点で実は配慮が足りないと私は思います。(それについてはまた別に)
公会堂以外にも、学校の講堂や公共の体育施設など、同じ問題を抱える現場が多数あります。どなたか固定設備用として必要な機能と操作性をきちんと実現したミキサーを作ってくれませんか?協力は惜しみませんから。
ちなみに・・・
アナログミキサー時代、固定設備用と言われるミキサーにはエアモニタマイク用の入力があり、ヘッドアンプ、ファンタム電源、ハイパスフィルターなどが装備されていました。
また、モニタースピーカからは常時エアモニタマイクの音声を出力していますが、検聴ボタンが押された間だけ該当するチャンネルの音声に切り替わるようにもなっていました。
Panasonic、ビクター、TOAなどの国内大手メーカもアナログ時代はそんな固定設備用のミキサーを製造していました。ヤマハはコンサートSR向けに注力していて、固定設備には今もあまり感心がないようです。
さらに、ホールや劇場用に特化された、今は無き、不二音響(株)製(ブランド名:HYFAX)のミキサーは、エアモニタ信号がアサインできるUTIL出力とアサインできないPGM出力とに分かれていて、楽屋やホワイエなどのスピーカにはエアモニタ信号を流せるが、ハウススピーカには間違っても流れないように(ハウリングするため)配慮されていました。
残念ながら上記のような機能をもったミキサーは現状ありません。
そのため本格的なホールや劇場でも、コンサートSR用に開発されたミキサーを使用し、足りない機能は機器を特注したり、前述のように既存の機能のなかでやりくりして使っているのが実情です。
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